忠犬彼氏。
「あ、メール」
柴からだ……。
さっき別れたばっかだろうが!
《逃がしませんから》
その言葉にどんな意味が含まれているのかはわからない。
ただ単純に、放課後逃がさないって意味かもしれない。
でも、もしかしたら……。
って何少し期待してんのよ。
バカじゃないの?
すっかり犬に似てきたんじゃないの?
そんなのダメダメ。飼い主としての威厳を保たねば。
「璃子にゃん!」
「何」
「璃子にゃんはもう少し自分に素直になったほうがいいよ?」
後で後悔するぞ。
そう言われた気がした。
「でもさ、璃子、柴君に最初からあんまり拒否反応出てなかったよね」
少し変化?
と華音は首を傾げるけれど、そんな可愛いもんじゃない。
ただ、柴が“男”として意識してなかっただけ。
あまりに可愛すぎて、異性だと言う感覚が吹っ飛んでた。
そんなこと言ったらまた二人は
可愛くない
って言うのかな?