忠犬彼氏。


柴は質問には答えずに店員さんを呼び、メニューを告げた。

「無視とはいい度胸だな」

「先輩に絞められるなら本望ですよ」

出た、キラースマイル。

「ってまたまたそんな気持ち悪いものを見るような目で見ないで下さいよー」

「いや気持ち悪いものを見てんだよ」

お前はMかよ。
マゾヒストかよ。
あ、意味一緒だった。

「まぁまぁゆっくりお話ししようじゃないですかぁ」

は?

「待て、柴」

違和感。
違う。違くないんだけど何かが違う。

「はい?」

笑顔のまま小首を傾げて聞き返してくる様はいつも通り。

「アンタ……」

私が変な顔してるのをスルーするのもいつも通り……じゃない。

「あ、先輩水どうぞ」

違う。こんなの、柴じゃない。

って、何言ってんだ私は。
私が柴の何を知っているんだって言うの?
でも、コレだけは言える。

「柴、アンタ、何企んでる?」

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