忠犬彼氏。


「企む?」

柴はまた小首を傾げ、
はて、何の事やら
と言う顔をしている。

柴、猿芝居はここで終わりだよ。

「柴は私に何か隠してる」

「そりゃ人間ですから一つや二つ隠し事なんてありますよ」

「そういうんじゃなくて」

そういう、そういう感じの隠し事、秘密みたいなものじゃない。

騙されてるような、隠し事。

「柴……」

「稟汰、ですよ」

アンタ、この期に及んでそんなこと言うわけ!?

「アンタもっと素直じゃなかったっけ?」

「璃子先輩こんな話してくれてましたっけ?」

質問に別の質問で返すなよ!

と、ツッコミたいのもやまやまだけどそんな空気じゃない。

私たちに、似つかわしくない空気。
嫌だなぁ。


「仕方ないです。
全て話しますね」

それが出来たんなら、早くそうしてくれよ。
焦らしか!?焦らしなのか!?

< 99 / 204 >

この作品をシェア

pagetop