忠犬彼氏。
「企む?」
柴はまた小首を傾げ、
はて、何の事やら
と言う顔をしている。
柴、猿芝居はここで終わりだよ。
「柴は私に何か隠してる」
「そりゃ人間ですから一つや二つ隠し事なんてありますよ」
「そういうんじゃなくて」
そういう、そういう感じの隠し事、秘密みたいなものじゃない。
騙されてるような、隠し事。
「柴……」
「稟汰、ですよ」
アンタ、この期に及んでそんなこと言うわけ!?
「アンタもっと素直じゃなかったっけ?」
「璃子先輩こんな話してくれてましたっけ?」
質問に別の質問で返すなよ!
と、ツッコミたいのもやまやまだけどそんな空気じゃない。
私たちに、似つかわしくない空気。
嫌だなぁ。
「仕方ないです。
全て話しますね」
それが出来たんなら、早くそうしてくれよ。
焦らしか!?焦らしなのか!?