~見えない敵との戦い~
『どっちもいや。』
「いいがげんにしろよ。」
ビクッ
はじめて聞いた。
今までよりも1トーン低い声。
『ねぇ。辞めてよ。こんなこと。』
もう、涙が止まらなかった。
「は?おまえ泣いてんの?」
『泣いてない。』
嘘。だけど、泣いてたって
拓斗は辞めてくれない。
「ふーん。
・・・じゃあ、
俺が今から言う3つの条件の中からえらべ。」
『え・・・・?』
拓斗はあたしの返事も聞かず、
“条件”を言い始めた。
「1つ目。璃音か璃音の友達を犯す。
2つ目。璃音が俺が言った通りの写真を送る。
3つ目。璃音の友達を紹介する。
どれがいい?」
『……
(どれもやだ。
だけど、もし選ばなかったら?)』
「早く決めろよ。」
『…もし、あたしがどれも選ばなかったら?』
「1つ目に強制的になる。」
『っ―――!』
声すらでない。
どうしていいかわからない。
怖い怖い怖い・・・・。
頭の中がパニック状態だ。
自分でもう、なにをしてるのかわからない。
ブレーキがきかない。
「早く答えろよ。
1つ目にしていいのかよ。」
『……
(あたしは友達を売りたくない。
でも、1,3は友達を売ることになる…?
あたしが我慢すれば、友達はみんな助かる?)』
「聞いてんのかよ…」
拓斗の口調がだんだんキレ気味になってきた。