眠り王子×無関心姫②【完結】
『ヨーキは毎日ここに来てくれたのよ。舞憂のために。』
え。
毎日?
確かに楊杞には英語を教えたから話せるだろうけど…
軽穂には何も聞いてないの?
「…楊杞、軽穂とは?」
「…ああ、軽穂ね。まぁなんともないけど?あんまりそういう話もしてないし。」
そっか…
「…まぁあたしは軽穂が別れたいって言わない限り別れるつもりはないし。舞憂はなんにも悪くないよ。」
普通に笑いながら楊杞がそう言うから、なんだか苦しい。
楊杞を辛い目にあわせるのが、苦しい。
やっぱりあたしなんか…
「舞憂!あんた変な事考えてんじゃないでしょうね?」
「へっ?!」
「まったく!あたしが一番辛いのは舞憂がいなくなることなんだからね?分かってる?」
「…でも、」
「でもじゃない!まったく。舞憂は強情だね!」
…でも。
「…あたしは、楊杞に幸せになってもらいたい。」
「………。」
「あたしを変えてくれたのは、間違いなく楊杞なんだよ。」
「…そんなのは、あたしよ。舞憂があの時あたしを助けてくれなかったらあたしは学校にも行ってなかっただろうし、軽穂にも出会ったなかったし、何より…襲われてたんだし。」
あたしたちは二人して、初めて出会った日のことを思い出してた。