眠り王子×無関心姫②【完結】
引退と一緒に紅蓮を抜けた俺は、実家に戻った。
……海が見える高台にある一軒家。
いわゆる高級住宅地よりも上にある。
回りは森みたいに木が生えてるけど、ここは人の手が造った場所だ。
黙って家の扉を開ければ。
「玲様。おかえりなさいませ。」
執事の井上が出迎えた。
「旦那様がホテルに来るように、と。」
「……分かった。」
親父か…
俺は、見合いなんざ認めねえ。
つか、舞憂以外の女なんか女じゃねえ。
……美優は、まあ。いいやつだ。
「お車を用意いたしました。」
「ああ。」
家に帰ったのは何年ぶりだろうか。
中2のときだから…
「5年ぶりか……」
「はい。」
しっかし。
井上はまったく歳とってねえな。