百もの、語り。
窓の鍵を開けようと、
片手をガラスにつきました。
自分まで手形つけるのかよ。
さっきポテチ食べてたから
手、油まみれなのに。
そう文句をつけようとした時、
ガラスに触れた兄の手が、
妙に滑っているのに気が付きました。
そして、兄が言ったんです。
『この手形、内側についてる……』
カーテンを閉めた時、
部屋には兄も居ました。
だから、その後に付けられたのだと
兄も知っていたはずです。
とりあえずその日は、
手形を落としてから寝ましたよ。
不気味なので、兄の部屋で。
それで次の日、
隣へ行かずに大家さんに話をしに行って、
そこでようやく知ったんですが、
今、家の隣に誰も住んでなかったんです。
フーッ
44本目の蝋燭が消えました。