百もの、語り。
48.偶然
偶然、よくすれ違う人がいるんです。
名前も知らない人なんですけど、
どんな場所に行っても、
必ず、その人とすれ違うんです。
その事に気が付いてからは、
通り過ぎる時に
よく確認するようになったので、
同一人物で、まず間違いないと思います。
それでこの間、
初めて行く所に遊びに行ったんです。
俺、町探索が好きで、
知らない場所でうろうろしてたんですよ。
そしたら、やっぱりそこでも
その人とすれ違ったんです。
偶然も、ここまで来ると凄いなって
そう思ってたんですけど。
その人の歩いてきた方向に進んだら、
建物も道も何も無くて。
つまり、行き止まりだったんですよ。
フーッ
48本目の蝋燭が消えました。