百もの、語り。
56.影
道を歩いていると、ふと、
自分のすぐ後ろに影があるのが見えました
その時は自分の前に影が出来ていたから、
後ろを歩いてる人がいるんだなって
それ位にしか思わなかったんですよ。
でも、どれだけ歩いても
その影はすぐ後ろにあったんです。
時々踏んじゃう位に近いのに、
そういえば足音、聞こえないなって
気が付いたんですね。
それからは少し足早に進んだんですけど
少し間が開いたぐらいで、
やっぱり影はそこにあるんです。
下を向けば、見えるぐらいの近さで。