百もの、語り。
それで、その、見つけた1つ目の話をしようか。
見つけたというか、起こった話なんだけど
ある年、卒業間近の女子生徒が行方不明になった。
それも、学校の中で。
靴は靴箱の中に残されていたのに、
彼女の姿はいくら探しても見つからない。
何かの事件に巻き込まれたか、
連れ去られてしまったのか。
当然、誰もがそうおもった。
だけど数人の生徒が、
『彼女はまだ学校の中に居る』
そう、言ったんだ。
理由は、その子の机の中にあった、1冊のノート。
そこには、『帰れないの』と、そう書いてあった。
それからさらに、
確かに彼女の筆跡で、
毎日1文ずつ書き足されていく。