百もの、語り。


それなのに、ダン、ダンっと、響く音。

ボールを、
ドリブルしているような音です


走り回ってもいるようで、
足音と一緒に、
その音は鳴らされていました。



その音が向かう先は、
恐らくバスケットゴール。


一瞬音が消えた後、
床に叩きつけられるような音が聞こえ、
どうやらシュートは成功したみたいでした。


だけど体育館は暗くて、
人影どころか、ボールも見えません。


だから私は、確かめようと、
そのボールを探しに行きました。



ゴール付近に近づくと、
転がるボールが目に入りました。


それを拾おうと手を伸ばし、
ボールに触れた、その瞬間。


私の頭が、誰かに掴まれました。


その掴み方は、まるでボールを掴むかのようで……。


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