百もの、語り。


その足音が近づいて来るに従って、
声も聞こえてくるようになりました。

その声は、恨みつらみを
ひたすらに並べ立てています。

「もうさ、帰ろう?」

誰かが言いました。

それに賛同して、全員が頷きました。


運よく、足音は玄関とは逆の方。

みんな、玄関へ急ぎます。


そして庭まで出た所で、
再び誰かが言いました。


「……ねえ、ここの噂って、
確か途中で辞めるには、石を全部、
置いてこなくちゃいけなかったよね……」


思い出した彼女たちの手には、
石が固く、握りこまれていました。


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