百もの、語り。
わくわくしながら箱を開けると、
そこにあったのは、よく解らない、
干からびたような、長い棒のような物が。
がっかりしつつも、これは何なのかと
首をかしげて祖母に見せてみると、
それはすごい剣幕で
『元に戻しなさい!』と、怒鳴られました
しぶしぶ箱に戻し、
包装も元に戻そうと紙をまとめていると、
少し目を離したすきに、
箱はどこかへ消えていました。
それを祖母に伝えると、
『放っておきなさい』と言われました。
あれが何だったのか、今でも解りませんが
紙と箱の模様なら、箱の中から染み出て
外側にまで染み渡った血の跡なのだと
今ならそう、思います。
またいつか、あの箱が私の前に現れたなら
もう1度箱の中、今度は中身ではなく、
箱の内側に注目したいと思います。
その中も同じ模様なら、
私の想像は、あっているのでしょうから。
あの包装紙なら、今でもまだ
私が大事に取ってありますから、
模様を確かめるのは、簡単です。
それじゃあ、私の話はここで終わります。
ふーっ
6本目の蝋燭は静かに吹き消されました。