百もの、語り。
7.見えない
これは、私が小学生の時に
学校で流行った話です。
その小学校は、数年前に新校舎が建てられ
旧校舎から教室はすぐに移動されましたが
物は、少しずつ移動させていて、
必要なものはそのつど取りに行ったり
移動が大変な場合は、とりあえず旧校舎で
その授業を行ったりしていました。
だけれど、図書室だけは
まっさきに移動が終了しました。
そんな、旧校舎の図書館のお話です。
下校のチャイムが鳴ったら、
旧校舎の図書館に入ってはいけない。
何故なら、本と本棚の中身だけが、
幽体離脱したかのように
今もまだ取り残されていて
夕日を浴びると、
見えないままだけれど
障害物となって入った者を閉じ込めるから
そんな噂が流れました。
何故閉じ込めるのかと言うと、
本たちもまた、本体へと戻りたがり
どうにか外へ出ようと動き回っていて
ドアの辺りは見えない何かにぶつかるからです。
だからそうなると、
朝まで外には出られないそうです。
おしまい!
フーッ!
7本目の蝋燭が吹き消されました。