百もの、語り。

7.見えない


これは、私が小学生の時に
学校で流行った話です。

その小学校は、数年前に新校舎が建てられ
旧校舎から教室はすぐに移動されましたが
物は、少しずつ移動させていて、
必要なものはそのつど取りに行ったり
移動が大変な場合は、とりあえず旧校舎で
その授業を行ったりしていました。

だけれど、図書室だけは
まっさきに移動が終了しました。

そんな、旧校舎の図書館のお話です。



下校のチャイムが鳴ったら、
旧校舎の図書館に入ってはいけない。


何故なら、本と本棚の中身だけが、
幽体離脱したかのように
今もまだ取り残されていて
夕日を浴びると、
見えないままだけれど
障害物となって入った者を閉じ込めるから

そんな噂が流れました。


何故閉じ込めるのかと言うと、
本たちもまた、本体へと戻りたがり
どうにか外へ出ようと動き回っていて
ドアの辺りは見えない何かにぶつかるからです。

だからそうなると、
朝まで外には出られないそうです。

おしまい!




フーッ!


7本目の蝋燭が吹き消されました。



< 27 / 266 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop