百もの、語り。


そして、それは、その日の夜の事です。

川辺から少し離れた所に、
テントを設置して、そこで寝ました。




夜中に、ふと、私は目を覚ましました。

ずるずると何かを引きずるような音が
テントの外から、聞こえてきたからです。

誰か、トイレにでも起きたのかな?

私の家族以外にも、
数組の人たちが
テントを張っていたから、
私はそう思って、寝なおそうとしました。

だけれど、暫く経っても、
物音は続いていました。


何だろう?
何か、探し物でもしてるのかな?


キャンプ場にはライトが設置されていて
その光に照らされて、
人影らしきものが見えていたのです。

それは、体制を低くしていて、
まるでコンタクトレンズでも
探しているかのように見えました。


でもその人は懐中電灯も持っていなさそう

それじゃあ探しにくいだろうと思い、
私は自分のを貸そうかなと
カバンから懐中電灯を取り出し、
外へ出ようとしました、その時です。

それまで寝ていると思っていた妹が、
私の手を掴んで言いました。

『駄目だよ、お姉ちゃん』

「何が?あの人きっと、困ってるよ。
 これ貸しに行くだけだし、平気だよ」

夜中に外に出る事を咎めているのだと
思った私は、妹にそう返しました。

『違うよ、あの人が探してるの、
 お姉ちゃんの拾ったやつだよ』

アレ。と妹が指さしたのは、
枕元に置いていた、あの白い石でした。



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