百もの、語り。

14.宝探し


俺がまだ小さい頃、
近所に同い年の奴が居なかったから
いつも兄ちゃんとその友達と遊んでたんだ

で、ある日の事だ。
兄ちゃんの友達、A君としよう。

A君が『宝の地図を見つけた!』って
そんな事を言うから、近くの山に
数人で宝探しをしに行く事になったんだ。


一緒に行ったのは、
俺と兄ちゃんとA君、
B君と弟のC君の合計5人。

みんな同じ町内に住んでたから、
いつも一緒に遊ぶのはそのメンバーだった


それでその場所の山なんだけど、
山って言ってもその手前に森が広がってて
でも小さい物だから奥まで行かなければ、
迷うような物じゃなかったんだ。

子供だから、登るまではしなかったし。


入口までつくと、A君が
『どこかに次の場所を示す紙があるから、
 それを探して。そしたら次って、
 最後まで見つけたら宝物があるんだ』
そう言ったんだ。

いつも鬼ごっことかして遊んでたし
迷子になんてならないだろうと思って
みんな1人でその紙を探し始めたんだ。


10分ぐらい経ったかな?
A君が見つけたらしく、声が聞こえた。
彼の元に全員集まったら、
A君がその紙を読み上げたんだ。

『南の、館』

……確かに、その森のそばには
古い、洋館があった。
廃屋だけど。

そこは気味が悪かったから、
俺たちは滅多に近づきさえしなかった。

でも、そこに宝があると言われたら
確かにありそうな雰囲気はあった。

だから意を決してみんなで入ってみたんだ


< 45 / 266 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop