百もの、語り。
中に入るとすぐに、
A君はまた違う紙を持っていた。
『右の3番目の部屋』
紙の通りにその部屋へ行くと、
先頭に居たA君がまた紙を拾った。
『前へ2部屋』
次の部屋にも紙はあった。
『クローゼット』
開けてみると、
何かが飛び出してきた
一瞬それは人のように見えて、
A君以外の4人はすぐさま部屋の外に飛び出したんだ。
でもA君が中々来ないから、
恐々とまた部屋を覗き込んでみると
A君はまだクローゼットの前で
彼の手には布と、紙が握られていた。
『洋服が詰まってて押し出されたんだよ』
そう言うと彼は手に握られた布を押し込んだ。
なんだぁと納得した俺たちは
また彼が読み上げる紙に従う事にした。
……今思い返してみるとさ、
A君が仕舞った服以外に、
あんまり中身、
入ってなかったと思うんだ
それで話は戻るけど、
次の場所は2階だった。
ギシギシいって今にも崩れ落ちそうな
古びた階段を上ると、たくさんのドアが並んでいた。
指定された部屋のドアを開けると、
そこにはまた、たくさんのドアがあったんだ。
こんなにこの館は広かっただろうか……?
C君と2人で並んで3人の後ろを歩いていた俺は、互いに目くばせした。
きっと前に居た兄ちゃんとB君も
同じ事を思ったと思う。
だけどA君がずんずんと進んでいくから
つられて俺たちも進んで行った。