百もの、語り。
それで家に帰ったら、
兄ちゃんが紙を取り出したんだ。
落ちてたのを、つい拾ってきたらしい。
『これ読めるか?』
兄ちゃんに見せられたその紙は
確かにA君が読み上げた物だったけど
そこには記号のような物が書かれているだけだった。
もしかすると暗号か何かなのかと思って
俺と兄ちゃんは暫く考えてみたんだ。
そうこうしている内に夜になって、
家に町内会長さんとA君の親が来たんだ。
うちの子がまだ帰らないんです。って。
一緒に遊んでたのを知ってたから
親に呼ばれて、皆であの廃屋に行ったと話したんだ。
そしたら大人たちは顔色を変えて、
どうしてあそこに行ったんだって、怒鳴られた。
A君が宝探ししようって言ったんだと
あの紙も見せて、話した。
そうしたらA君のお母さんは泣き崩れて
町内会長さんが何か名称のようなものを
口に出してそれの所為だと言っていたけど
その言葉も、どうしても思い出せないんだ
それから家と、B君達の家は何故か急に引っ越しが決まってさ。
一体A君がどうなったのかは知らないけど
風の噂でどこかの病院に入院してるらしい事を聞いたよ。
兄ちゃんとB君は時々連絡を取っていて
今年貰った年賀状には
『思い出しちゃいけない』って、そう書いてた。
だから俺も、忘れている事は思い出さない方がいいんだろうなと思うんだ。
C君からの年賀状、去年から来ないし。
でも最近、あの紙に書いていた物を
どこかで見た気がするんだ。
……どこだったかな。
ま、どうでもいいね。
フッ
14本目の蝋燭が消えました。