百もの、語り。

次の日も、公園に行くと彼女は居ました。
やっぱりマスクをしていて、
昨日とは別の本を持っていました。

その翌日も、その後も。

何も喋らないけれど、
心地いい日々が続きました。


でも、また引っ越しが決まってしまい
別れを告げなければと、
初めて彼女の前で口を開きました。

さよならと、
最後に名前を教えて、と。


でも彼女は困ったように微笑むだけで……



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