百もの、語り。

『何を見ても、一緒に居てくれる?』

彼女が紙に書いたのは、そんな言葉でした

僕は頷いて答えます。
すると、彼女はマスクに手をかけました。

外されたそこには、
何もありませんでした。

でも、僕は逆にそれでよかったと思いました。


喋らない僕と、喋れない彼女。

いつしかどちらも、惹かれあっていたんです。


そして尋ねてからまたしばらく経って、
僕はようやく彼女に思いを伝えました。
ずっと傍に居て欲しいと。

彼女は静かに微笑んで、頷いてくれました

それからは不思議な事に、
頭の中で会話が出来るようになったんです

それでも2人とも口数は少ないですが
彼女の声、すごく綺麗なんですよ。


彼女の姿、両親には見えないみたいで
紹介はできないのが残念ですが、
僕、今はとても幸せなんです。




ふーっ


16本目の蝋燭が消えました。



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