百もの、語り。
20.ペット
これは、私のお兄ちゃんの話です。
お兄ちゃんは去年から1人暮らしをしているんです。
そこはペット禁止のアパートなんですけど
小動物とか、気づかれにくいのを飼ってる人は結構いるらしいんです。
お兄ちゃんもハムスターを飼い始めて
でも最近ちょっと元気が無いなって
病院に連れて行ったんですね。
結局何事も無くて、
それはよかったんですけど
隣の部屋の人に見つかってしまって。
その人は自分もペットを飼ってるから、
お互い秘密にしましょうねって、
そう言ったから、お願いしますって
2人で笑ってたらしいんです。
それまでも、隣からごそごそって、
隣人が出かけるのを見た後に
誰もいないのに物音が聞こえてくる事が
時々あったらしいんですね。
だからきっと何か飼ってるだろうなって
お兄ちゃんもそう思ってたらしいんです。
それである日、
『どうしても今日は
帰れない用事が出来てしまったので
代わりに餌をあげてくれませんか?』って
隣人に頼まれたそうなんです。
お兄ちゃんは快く引き受けました。