君ハ空ノ上
「はぁ、はぁ…」

懐中時計はあと五分


「桂木さん…」


「あ、大夢さん…

…もう大丈夫です。伝えたかったことは伝えました。」


「あと五分ありますけど…

もう一度、会ってきては?」


「いいです。

もう一度、会ってしまうと、今度こそ決心が揺らぎます。」


「………そうですか。」


「あ、この懐中時計お返ししますね。」


私は懐中時計を外し、大夢さんに渡した。


「…確かに受け取りました。」

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