チャリパイ14~最後のサムライ!




「待ちなさい!ブタフィ将軍!」





その声のする方を振り返ってみると、そこには例の『婚姻承諾書』を掲げて厳しい顔をしたイベリコの姿があった。


「あなたの望んでいる承諾書にサインをしたわ!

取引をしましょうブタフィ将軍!
……今すぐその方達の処刑宣言を撤回しなさい!さもなければ、この承諾書を破り捨てます!」


そう言ってイベリコは、婚姻承諾書の上部右端と左端をそれぞれの手で持ち、すぐにでも用紙を真っ二つに破れる体勢を取った。


それを見たブタフィが、短く舌打ちをする。


さんざん苦労して署名させた承諾書を破られたら、次にまたサインさせるのは一苦労だ……


「まったく……色々と注文の多いお姫さまだ……

わかりましたよ!この不届き者達の処刑は取り止めましょう!
おい、誰かこの者達を牢にでもぶちこんでおけ!」


ブタフィは、渋々この取引に応じた。


チャリパイを取り囲んでいた兵士達は、すぐさま四人の腕を取り部屋の外へと連れ出す。


「処刑は取り止めますが、これだけの事をやってのけた奴らを無罪放免という訳にはいきません。私にも立場というものがありますからな!」


「わかったわ……」


とにかく、チャリパイの命が助かった事にイベリコはほっと胸を撫で下ろした。


(ロース…そしてあの人達の命には代えられない………たとえ望まぬ者との結婚だとしても、今の私にはこれしか方法が無いのよ……)


一方、地下の牢屋に連れられている途中のチャリパイは


「さっきの紙って、一体何だったのシチロー?」


ひろきの質問に、シチローは悔しそうな表情で答えるのだった。






「結局、オイラ達はサムライどころか、イベリコの足を引っ張るだけの『役立たず』だったって事さ!」



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