チャリパイ14~最後のサムライ!




「なにを今さら!
それでは約束が違うじゃありませんか!」



イベリコがもの凄い勢いでブタフィに食ってかかった。


「そうでしたかな、何しろ最近物忘れがひどいもので……私がそんな約束を本当にしたものかどうか……
それとも姫、それを証明するような何かを貴女はお持ちなのですかな?」


婚約会見が済んで一段落したと見るや、ブタフィは手のひらを返すようにロース、そしてチャリパイの命を保証するという約束を無いものにしてきた。


「証明などと、なんて白々しい!
私が結婚を承諾するのと引き換えにあの人達を処刑しないと、そういう約束だったはずです!」


「口では何とでも言えますよイベリコ姫。取引をするならば、私に一筆書かせておくべきでしたな!
ワッハッハ~~♪」


口約束でイベリコが何も証明できる物を持っていない事をいいことに、ブタフィは不条理この上ない理論をぶつけて来る。


「なんて卑怯なマネを……
許さない!そんな事は私が許しません!」


「イベリコ姫、あの者共は軍に弓を引いた反逆者です!あんな奴等を庇うのはお止めなさい!」


「反逆者なものですか!
あの人達は……アナタなんかよりもよっぽど勇敢で正義感のある人達です!」


「おやおや、これから夫となる人間にずいぶんつれない事を言いますね
……これは参った」


(だからこそあの五人には、死んで貰わなければ困るのだ。この姫にこれ以上ヘタな希望とやらを持たれても厄介だからな)


「とにかく、あの者達の処遇は軍の預かる案件です。いくら姫でも余計な口出しはしないで頂きたい!」


宮殿でそんなやり取りがあったのは、婚約会見の二日後の事であった。


イベリコの精一杯の猛抗議もブタフィには聞き入れてはもらえずに、チャリパイそしてロースの処刑は翌日の正午執行される事が決定した。



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