チャリパイ14~最後のサムライ!




苦労してイベリコに承諾書にサインさせた甲斐があったというものだ。


これさえあれば、この局面は何とか乗り切れるであろう……


ブタフィは、そう考えていた。


「そういう訳です。わざわざお越し頂いたのに申し訳無いが、これ以上我が国の婚礼儀式に対し水を差す事は慎んでもらいたいですな!」


あの親書を見てもなお、自らの主張を曲げないブタフィに、ジョンはこれ以上どんな手段を用いる事が出来るのだろうか?


だが、一見劣勢に立たされたように見えたジョンにも、とっておきの切り札があったのだった。


「なるほど……
いや、確かに将軍の仰る通り。
我々もイベリコ姫と将軍のご婚約が発表された時には、これはポーク国王の取り越し苦労ではなかったのだろうかと思いましたよ…………



テレビであの世界同時中継の会見を観るまではね……」


意味深な表情で、そんな事を言うジョン。


「どういう事ですかな、それは?」


一度はジョンに背を向けかけたブタフィが、不審そうに再びジョンに向き直った。


「将軍は当事者なので、テレビの放送は御覧になっていないでしょうが…………気が付きませんでしたか?
会見の最中に聴こえていた、あの不自然な物音に……」


「音……?」


「そうです、音です!」


ジョンは、そう言って不敵に笑みを洩らすと、ジュラルミンケースから『iPad』を取り出し、録画された会見の放送の一部をブタフィに見せたのだった。


最初は、その行為の意図する意味が全く分からなかったブタフィであったが、映像がその核心に差し掛かると、それを観ていたブタフィの顔から瞬く間に血の気が引いていった。



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