チャリパイ14~最後のサムライ!




その辞令を見た時のブタフィの顔といったら……


なんと形容したら良いだろう。
文章でその様子を表すのは、とても難しい……それでも、あえて読者諸君にそれを伝えるとするなら……


そう、世界的に有名な絵画のひとつにムンクの『叫び』という絵画がある。


まさに、そんな感じであった。




これで、ミッション・オールクリア!


悲壮感漂うブタフィの後ろ姿を見てそう確信したジョンは、隣に立っていたイベリコに微笑み、話しかけた。


「我々が出来る事はここまでです。
これから先は、イベリコ姫がこの国を正しい方向へと導いていかなければなりません。お父様に負けないよう、頑張っていかなければなりませんね♪」


「はい!父の名に恥じぬよう、私もこの国を愛していきたいとおもいます!」


若いイベリコには、まだ政治のノウハウは分からない事が多いのかもしれない。


だから自分は、この国をそして国民を精一杯愛する事から始めよう!


そんな決意を込めたイベリコの答えであった。











「お~~い、ジョ~ン!いいかげんにこっちのロープをほどいてくれよ~~!」


処刑台の方から、待ちくたびれたようなシチローの声が飛んできた。


「ああ、そうだった!すっかり忘れていた!」


思い出したようにジョンは、何人かの米兵を連れて処刑台のチャリパイの方へと走っていく。


続いて、イベリコも愛するロースのもとへと走り出した。


ロープに縛られたチャリパイとロースは、すぐに米兵達によって解放され、五人はようやく身動きがとれるようになった。


「あ~やっと自由になれたわ!一時はどうなる事かと思ったけど」


「バンザ~イ♪」


牢獄生活から処刑台……最悪の生活環境からようやく生還出来たてぃーだ、子豚、ひろきの三人は手を取り合い喜びを分かち合っていた。


その横で、久し振りの再会を喜び抱き合うイベリコとロース。


そんな中、シチローだけが『少し面白くない』といった表情をしていた。


不思議に思ったジョンが、シチローに尋ねる。


「どうした、シチロー。
ブタフィも失脚し、君達も無事に助かったというのにそんな不機嫌そうな顔をして?」


そのジョンの質問に対し、シチローはちょっとつまらなそうな顔でこう答えたのだった。






「チェッ……結局最後は、ジョンにおいしい所全部持っていかれたよ!」



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