チャリパイ14~最後のサムライ!



ブタフィ親衛隊の男達がトラップに悪戦苦闘しているその間に、シチロー達は事務所の地下にあるガレージへと集合していた。


親衛隊も、この事務所の間取りまで詳しく調査している時間は無かったのだろう。


出入口や裏口までは探してもこの地下ガレージの存在には気付いていなかったのだ。


「さあ、早く乗って、乗って!」


シチローは、他のメンバーを車に乗せるとエンジンをかけ、アクセルを床いっぱいに踏み込んだ。



ヴオォォーーン!



絶好調のエンジン音と共にタイヤを軋ませ、シチローを乗せた車はガレージの外へと飛び出した。


「あっ!隊長~やつらが車で逃げて行きました!」


窓の外にシチロー達の姿を見つけた親衛隊の一人が、慌ててリーダーの男を呼びつける。


「なんだと!あいつらどこから出て来たんだっ!」


窓に顔を貼り付かせ、大声を上げるリーダーの男の背後に、今更ながら部下の声が遠く響いて来た。


「隊長~~!なんか地下にガレージみたいのがありますけど~!」


「今更見つけても遅いわっ!もう逃げられたよっ!クソッ!」


逃げて行くシチローの車の後ろ姿を睨みながら、リーダーの男は悔しさのあまり、力任せに窓ガラスに蹴りをかました。



ガッシャーーン!



「ああ~っ!アイツら、事務所の窓ガラス割りやがった!」


その様子を、車内のバックミラー越しに窺っていたシチローからは、悲痛な叫び声が上がった。



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