チャリパイ14~最後のサムライ!



森永探偵事務所の敷地を飛び出し、およそ五百メートル程走ったところで、シチローはアクセルを緩めて徐々に車のスピードを落としていった。


「ここまで来れば大丈夫だろう……みんな、怪我は無かったか?」


シチローの問い掛けに、すぐさま後部座席のひろきが答えた。


「大丈夫~みんな無事だよ♪ねっ、コブちゃん♪」


隣りに座っていた子豚の方へと笑いかけたひろきだったが……















「私、イベリコよ?」



「……えっ?


あっ、そうか!
あれ、じゃあコブちゃんは?」



そのひろきの言葉を聞いて、シチローとてぃーだも、初めて車内の異変に気が付いた。


いつもならば、車に乗っているのは運転手のシチロー、助手席にてぃーだ、そして後部座席に子豚とひろきという四人の配置。


その感覚が脳内にすっかり馴染んでしまっていた為、ひろきは隣に座っているのが子豚で、これで全員が乗っているのだという錯覚に陥ってしまっていた。


しかし、実際には子豚だと思っていたのはイベリコで、子豚はこの車には乗っていなかったのだ。


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