チャリパイ14~最後のサムライ!



その女性が子豚と別人だと判ったシチローとひろきは、改めて驚きの表情で彼女をまじまじと見つめていた。


「それにしてもホントにそっくりだな……
君、名前は何ていうの?」


「『イベリコ』だけど……」


イベリコと聞いて思い浮かぶのは、どんぐりを餌に高級食肉用に飼育されている“イベリコ豚”である。


容姿だけでなく、名前も同じ『豚』関連なのは、何とも奇遇な巡り合わせであった。


「えっ?イベリコって、あなた外人なの?」


その日本人離れした名前から、ひろきがちょっと意外だという顔で、イベリコにそう尋ねた。


「そうです。わたしは『ブタリア王国』という国から来ました♪」


「ブタリア王国……あまり聞いた事のない国だな……」


「小さな国ですから、知らなくても無理はありません……ところで、わたしもあなた方にお聞きしたい事があるんですが」


きっとイベリコは、観光か何かで日本に訪れている外国人なんだろう…


ならば、日本の事で分からない事も多いに違いない。


お薦めの観光名所。あるいはグルメスポット……日本人としては、親切に教えてあげるのが礼儀というものである。


「ああ~♪オイラ達に解る事ならなんでも聞いてよ♪」


しかし、イベリコがシチロー達に尋ねたその内容は、通常とは少し変わっていた。
















「本物の『サムライ』には、何処へ行ったら逢えるの?」



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