チャリパイ14~最後のサムライ!
「このダチョウに乗って逃げるんです!」
イベリコがダチョウを呼び寄せたのには、そういう理由があった。
しかし、ダチョウは三羽。それに対して人間はイベリコを含めて五人である。
ひろきが、その事実を指摘する。
「でもイベリコ、これじゃ全員乗れないよ……」
「大丈夫です!ジモンは力があるので、てぃーださんとひろきさんの二人が乗れます!」
「でも、それでも一人あぶれるわ……」
てぃーだの言う通り、それでもダチョウに乗れるのは四人。一人乗れない計算になる。
「シチローが走ればいいのよ!アンタ男でしょ!」
「ムチャ言うなよ!一体何キロ走ればいいんだよ!絶対捕まるだろ!」
子豚とシチローが言い争いを始めると、すかさずイベリコが間に割って入った。
「誰も走る必要はありません!
私が宮殿に残ります!」
「えっ………………」
「イベリコ…………」
ペットのダチョウに乗って逃げる方法を思い付いた時から、イベリコは既にこの宮殿へと残る事を決意していた。
チャリパイがもしブタフィに捕まりでもすれば、恐らくその日のうちにでも処刑されてしまうかもしれない。
そんな危険な事で、これ以上この親愛なる日本人に迷惑をかける訳にはいかない。
イベリコは、そう思った。
「皆さん、今まで本当にありがとうございました♪
日本で皆さんと食べたスキヤキの味は一生忘れません♪」
イベリコは四人に向かって、とびきりの笑顔を携えてそう言った。
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