チャリパイ14~最後のサムライ!




ブタフィは相変わらずイベリコの所へとやって来ていた。


普段は、誰もが恐れる冷徹な顔しか見せないブタフィだが、イベリコには笑顔で接してくる。


もっとも、今のイベリコにはその笑顔ですら嫌悪の対象にしかならないのだが……


「姫、この指輪をご覧なさい♪昨日届いたばかりのTIFFANYの新作ですよ♪」


そんなブタフィの高価なプレゼント攻勢も、イベリコにとってはただ迷惑なだけである。


「要りません。余計な気遣いは無用です」


「そんな事を言わないで♪あっても邪魔になる物ではないでしょう♪」


「要らない」と言われても、そんな事では引き下がらないブタフィ。


そして、プレゼントの後には決まって婚姻の確約をせがむのだ。


「姫~いい加減、良い返事を聞かせてはもらえませんかね?
私もそういつまでも待ってはいられんのですよ」


「何度も言わせないで下さい!私はあなたなんかと結婚するつもりはありません!誰があなたみたいな醜い人間と!」


「醜い?」


イベリコに「醜い」と言われて、ブルドッグ顔のブタフィから笑顔が消えた。


「確かに私はハンサムじゃありませんよ!だが、それがどうしたというんです!私には『力』があります!軍を率いてこの国を統率する圧倒的な力です!見てくれなんぞは何の役にも立たない!」


よほど外見にコンプレックスがあるのだろう。イベリコに食ってかかるブタフィ。


だが、そんなブタフィを憐れむように一瞥するとイベリコは先程の話に言葉を付け足した。


「私の言っている『醜い』とは、外見の事を指しているのではありません……心の醜さの事を言っているのです。
権力に執着し、この国を支える民の事をないがしろにしている!武力を使って望みを叶えようとするその心の醜さを言っているのです!
人の価値は、外見で決まるものでもなければ力で決まるものでもありません!」




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