甘い笑顔のキミ
「藤崎さん…だっけ?秋やめて俺にしない?」

「そこそこ可愛いし」なんていいながら肩をさわられる。

「やめ…」

手をはらおうとするとグイッと腕をひかれ、そのまま抱きしめられた。

「さわんな。」

初めて聞いた、すごく低い声。

その威力はすごいもので、周りにいた全員が黙った。

肩に触れてきた男子の顔は少し青ざめている。

「それと…」と呟くように言うと相川くんは私を抱きしめたまま女の子の方を向いた。


「藤崎さんは俺の好きな人だから。」

そう言うと、抱きしめていた腕を解いて呆然とするみんなを無視しながら手をひかれる。


「行こ。」


手をひかれるがままに廊下を走ると、後ろから女子の悲鳴と男子の歓声が聞こえた。

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