甘い笑顔のキミ
………………。


なぜだろう。みんな私と目を合わそうとしない…。

それどころか、心なしか目をそらされてる気が…。


するとちょうど自分の担当が終わったのか、片づけをしてる田中くんがいた。

「…ねぇ。」

近づいて声をかけるとすごい勢いで振り向き、次の瞬間、顔を赤く染めながら口を開いたと思えば。


「お、俺、今日塾あるんだ!だから藤崎、…さよならっ!」

「え…顔、赤…」


早口でそう言うと、走って教室から出て行った。

……顔赤かったけど、熱は…なさそうだな。うん。
走って行ったし……。

くるっと後ろを振り返れば、みんな一斉に顔をそらし、鞄を持ったかと思うと、またもや一斉に教室から出て行った。


驚くほど静かになった教室にひとり立ち尽くして。

「……みんな、薄情すぎない…?」


ポツリと言った。


なんだか泣きたくなってきたよ…。


これが2週間ずっと続くと思うと少し憂鬱になる。
時間はそうこうしてるうちに5時半をさしていた。


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