甘い笑顔のキミ
「…崎。…藤崎っ!」

誰かに体を横に揺らされて、閉じていた瞳を開く。

顔を上げると呆れた顔をした田中くんがいた。

「…どうしたの?」

頭がうまく回らずそれだけ聞くと、田中くんは大きな溜め息をついて言った。


「どうしたの?じゃねーよ。みんな作業終わらして帰ったんだけど?」

「…えっ!?」

パッと周りを見渡すと、教室には私と田中くんだけしかいなくて、

時間は5時を過ぎていた。

たしか作業始めたのが4時前くらいだったから……

「…田中くん。私、どれくらい寝てた…?」

「さぁ…1時間弱ってとこじゃね?みんな、藤崎が疲れてるの知ってるから起こさなかったし。」


「みんな良いやつだよな~」と言いつつ感心してる田中くん。

…たしかにみんな良い人だけど、疲れてるの知ってるんだったら
少しくらい私の分の作業もしておいて欲しかったな……。


目の前には寝てたせいで全くすすんでいないプリントの山。


< 58 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop