甘い笑顔のキミ
…ドキッと胸が大きく跳ねるのがよくわかった。


………え?


いきなりすぎて、頭がついていかない。

驚いた、なんてものじゃなくて、
本当に声がでない。


「…いきなりごめん。藤崎が相川のこと好きなのは知ってるよ。迷惑だって、困らせるの分かってたけど、今、言わずにはいられなかった。」


悲しそうに言う田中くんに心が痛む。

困ってなんかない…。
迷惑なんかじゃないよ…。


……でも、田中くんの気持ちには応えられない。


「……あの、田中く…」


“ごめん”そう言おうとした言葉が途中で途切れた。


背中と頭にまわされた腕。
視界には学校指定のセーター。


手にはギュッと力が入り、


強く、抱きしめられていた。






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