甘い笑顔のキミ
相川くんは私が了承したのを確認すると、“そのかわり”と付け足した。

「…俺、この1週間、遠慮なく藤崎さんに迫るから。」

「え…?」


「俺は本当に藤崎さんのこと好きだから。藤崎さんに意識してもらうように、俺なりに頑張らせてもらうよ。」


真っ直ぐ見つめられ、はっきりと“好き"なんて言われた私の心臓はすでにオーバーワーク寸前で。
そこに相川くんはとどめをさした。

「藤崎さん。」

「何…」

相川くんの声に反応して顔を上げると、ちゅっ、と耳のすぐそばで音がした。


「…っ!?」

驚いて相川くんの顔を見ると、とろけるような甘い笑顔を浮かべていた。

「…言ったでしょ?迫るよって。独占欲強いからあんまり刺激させないでね?」

私は頬をおさえながら、ただ口をパクパクさせることしかできなくて。

「“爽やかな人気者"だって、好きな人の前では飢えた狼だよ。」

……なんて囁かれた言葉は、もうほとんど聞こえていなかった。
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