甘い笑顔のキミ
わっ…
思ったより距離、近い……

近くなった距離にどきどきしていると、和樹が口を開いた。


「そういやさ、二人で何の話してたんだよ?」


その瞬間、私と舞がピシッと固まった。

キョトンとした表情で私と舞を見る和樹に悪気はないことはわかる…んだけど…。


まさか本人の前で、さっきまでの話ができるわけもなく、私と舞はお互いに微妙な表情で見つめあった。

どうしよう…。
相川くんの目の前で言えるわけないし…。
でも和樹もひいてくれそうにないし…。
隣の相川くんの表情が怖くて見れない…。

私たちが何も言わないのが気にくわなかったのか、和樹は唇をとがらして、次の瞬間、発した言葉によって、さらに気まずい空気が流れた。


「なんだよー。俺から舞奪って帰ったんだから教えろよー。告白されたんだったら秋と帰ればいいじゃ……あ。」

和樹はパッと口を手で隠し、バツの悪そうな表情で私を見た。
舞も同様に私とその隣をちらちら見ている。

「えーっと…その…さ?」

なんとか空気を変えようと必死に言葉を探す和樹も
言葉が見つからなかったのか、ついに黙りこんでしまった。

私は恥ずかしさのあまり、顔を赤くするしかなくて、隣の相川くんにばれないように顔を俯かせる。

そんな中、その空気を打ち破ったのは楽しそうな声だった。





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