甘い笑顔のキミ
「なんだよ、和樹。そんなに俺と帰るの嫌だったの?」


あまりにも明るい声に驚いて隣を見ると、相川くんがいつもの笑顔を浮かべながら和樹を見ていた。


和樹もそれにはびっくりしたようで。

「え…あ、いや…そうじゃなくて…。」


しどろもどろに答えると、驚きと不安が入り混じったような表情で私を見た。

私もあまりに平然としている相川くんに、昨日の告白が嘘だったんじゃないかと少し不安になる。


二人揃って似たような表情で相川くんを見ると、相川くんはくすくすと笑い始めた。


「別に気にしなくていいよ。俺が藤崎さんのこと好きなのは、ここにいる全員知ってるんだし。今更恥ずかしがる必要もないでしょ。」

そう言うとちらっと私の方を向いて、目が合うとにっこりと笑顔を浮かべられた。
相川くんの甘い笑顔に心臓がドクンと音をたてる。

「それに、そんなことで恥ずかしがってちゃ、藤崎さんに迫れないし?」

さらっと発言された言葉に、顔の体温が急上昇する。


…ちょっと待って。
今、恥ずかしいこと、すごいさらっと言ったよ!
心臓の働き、すごいことになってるよ!

驚きのあまり口をぱくぱくさせていると前の方から同時に溜め息が聞こえてきた。

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