甘い笑顔のキミ
「これだけで力抜けるなんて、ほんと、可愛い。」

顔をあげ、相川くんを見ると意地悪な笑顔で見つめられた。


わざと“可愛い"を強調して言ってるあたり、相当気にしてるんだろうな…。


回らない頭でそんなことを考えていると、再び相川くんが首元まで顔を近づけてきた。

さっきまでのことが思い浮かび、思わず体がビクッとしてしまう。

でも相川くんは、そんなことを気にするまでもなく、顔をうずめたまま動かない。


「あ、相川くん…?」


「…うん、やっぱり良い香り。」


そう言いながら相川くんが頭を少し移動させると、髪があたってくすぐったい。

体をよじらせて逃れようとすると、きつく抱きしめられる。


「ダメだよ。…逃がさない。」

顔をあげて言う相川くんの表情は、怖いくらい魅力的で。

さっきまでの拗ねていた相川くんとは別人のようだった。


“好きな人の前では飢えた狼だよ”

頭にかすかに残っている、昨日言われた言葉。


どうしよう……。
目が…離せない……。



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