あお夢【短編】
啓くんの愛情表現は、なかなか理解しがたいものがあった。面と向かって、好きだとか、愛してるとかは、あの告白の日以来一度もない。だからこの時もわたしは、理解するまでに時間がかかったのだった。あれは、学校の廊下での出来事。「これ、あげる。」そう言って、わたしにお弁当箱を渡した。


「授業で作った。どうぞ。」啓くんは、さらっといった。


これには、本当に驚いて、ドキドキし過ぎて、よく考える暇がなかったんだからね。



こういうものは、普通女の子が渡すものなのに。




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