あお夢【短編】
でも、それは夢



叶うことない、夢だったんだ。




君は、突然わたしの前から姿を消した。普通、別れ話とかするもんでしょ。――――――――今度、転校するんだとか。好きな人ができたから、別れたいとかさ。



いきなり、君がいなくなったからわたしは、自分を見失ってしまった。



わたしは、泣きながらふと、洋服からでた糸を手で引きちぎった経験を思い出した。



ブチ、ブチって、一本の糸を無理やりとるのって、けっこう快感だったりする。とってしまった糸は、いらないので、捨てていたっけ。




突然、啓くんとの繋がりを絶ちきられたわたしは、自分がいつも捨てていた糸のようだった。




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