ゆびきり
部屋に戻ると
ニコニコした藍ちゃんが
ベットに腰掛けていた。

「藍ちゃん!?こんな時間にどうしたの!?」


僕はかなり慌てた。

だってもう夜中の1時だし。


「こんな時間だから抜け出せたの」

藍ちゃんは何かを僕のベットに置いた。



「あ…それは!!」


「たっちゃんがこんなの読むわけないよね。藍がこの間言ったこと気にしてたんでしょ?」

藍ちゃんは
僕の読みかけの漫画に手を当てていた。



「とにかく戻りなよ。ばれたらうるさいし。」


「もう少ししたらもどる。」

藍ちゃんは僕をジッと見つめている


「キス…したい。」

少しためらいながら僕の手を取る

「うん。」

僕は返事をしながら
藍ちゃんの少しひんやりした唇に触れた。


「藍はたっちゃんがすき。疑ってごめん。ちょっと怖くて不安になっただけなの」

「僕も、焦って藍ちゃんの気持ち考える余裕なくてごめんね。」



漫画の主人公達は
素直に言葉に出来なくて悩んだり
行き違ったりしていたけれど


僕と藍ちゃんは
素直に言いあえた。


少なくともこの時は
お互いを理解し合えていたね。




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