ゆびきり
電車からは
藍ちゃんの高校が見える。



僕は藍ちゃんが
高校で何をしているのか
藍ちゃんの話からしかわからない。


それは藍ちゃんも同じだけどね。


「たっくん。今日は1本電車遅いけど、藍ちゃんが遅れたの?」


後ろを振り向くとタケが立っていた。

タケは僕と同じ高校に進学した。
学年2位の成績だし、当たり前なんだけどね。


「うん。もう用意が遅くてね~。」

「藍ちゃんらしいな。それにしても別々の高校に行くなんて驚いたよ。」


「うん。僕も同じ高校にいくつもりだったけど…。」

僕が最後まで言わないうちに
タケは僕の方に腕を乗せて


「まあ、俺は嬉しいけどね♪また一緒で。」

そう笑いながら言った。


僕たちのやり取りをジッと見ている女子が3組。

本人は否定してるけど
タケもかなりモテるからな~。

入学してからも
何度か告られてるはずだし。

でも

タケにはまだ彼女はいない。


妹の世話をしてるからかな。

僕よりはるかに大変な環境なのに
ちゃんと勉強もしていて本当にすごい奴だ。



「僕も、うれしいよ。」

僕は笑顔で答えた。


タケはホントに嬉しそうに笑った。




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