ゆびきり
「高校離れても仲良くやってるんだな」

タケは窓から見えた藍ちゃんの学校をみて言った。


「う~ん。とりあえず毎日会うけど…あんまり話はしてないかも。」


僕と藍ちゃんの時間は
以前よりすごく減っていた。


それに追討ちをかけるように
部屋に帰ると、僕は藍ちゃんと毎日ヤッてばかりで
2人の会話の時間は
どんどん減っていた。


「学校の話とかしないの?」

タケはドアにもたれかかって、もう見えなくなった藍ちゃんの学校のある方向を見つめた。

「なんだか…学校の話は聞きたいようで聞きたくないっていうか…」


身体をいくら重ねても
何も変わらない
そんなこと
わかっているのに

僕は毎日
僕の知らない生活を送る藍ちゃんのことが
心配で不安でどうしようもなくて
欲望に身を任せて
ごまかそうとしてしまう。



「たっくんは独占欲強いからね」

タケは
僕の言葉の意味をつかんでいた。


「そんなんじゃないよ。」

ズバリ言い当てられた恥ずかしさから、僕はつよがって答えた。


「不安なら不安って藍ちゃんに言ったらいいだろ」

「そんなカッコわるいこと出来るか!」


電車の中で
感情的に声をあげて
周りの視線を浴びたおかげて
すぐに冷静になった。



そして
自分がまんまとタケの誘導尋問にひっかったことに気がついた。


「まぁ、藍ちゃんって無防備っていうか…隙だらけだから、心配なのはわかるけどね。」


タケは勝ち誇った顔で笑った。


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