ゆびきり
ショックのあまり
足元がふらつき
僕は一歩踏み出してしまった。


藍ちゃんは気がつかなかったが
タケはすぐに気がついた。


「たっくん…」


藍ちゃんは驚いて振り返る。


僕と目が合う。


「たっちゃん。」


「ごめん。そうだよな…一年もあってなかったし…わかってるごめん。ごめん。」


僕は一生懸命作った笑顔で答えたけれど
うまく笑えず引きつってたことだろう。


「あの・・たっちゃん」

もう藍ちゃんの口から出てくる言葉を聴く勇気はなかった。

さっきの言葉を確かめる勇気も。




ホントに勝手な話だけど
僕は大丈夫だとなぜか思っていたんだ。
この交差点で僕が話しかければ
止まっていた時間は
また動き出すんだって…





僕は何も言わず立ち去った。



「たっくん待てよ!!」


タケが追いかけてきたけど
それを振り切って
思いっきり走った。




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