ゆびきり
家に着くとドアを閉め
カバンを投げ捨て
ベットに倒れこんだ。



「仕方ないんだ。僕が悪いんだ。」


僕は言聞かせるように呟いた。



それから30分位してから
藍ちゃんと誰かが帰ってくる足音がした。


タケに決まってるけど。

家のチャイムが3回なったけど
僕は無視して居留守を使った。


しばらくして
僕が本当にいないと思ったのか
2人は話し始めた。

「俺たっくんに聞いてみるよ。」

「ごめん。もういいの。」

「藍ちゃん…。」

ゴトっと
何か物音が聞こえた。

「タ・・・ケ?」

「ホントにもういいの?」

「え…?」

「気がついてんるんでしょ?俺の気持ち。」

「何言ってるの?」

「好きなんだよ。だから俺はずっと彼女を作らなかった。藍ちゃんが好きだったから。たっくんとどうでもないなら、僕のこと真剣に考えてくれない?」



タケが藍ちゃんを・・・?


僕の中を今までのタケのかかわった出来事がグルグル回る。



確かにタケは彼女を作らなかった。

藍ちゃんのことが好きだから?



廊下に面している僕の部屋は窓を開けるとすぐに2人の姿を確認することが出来た。

予想通り
2人は抱き合っていた。

僕は、ただ呆然と見ていた。

藍ちゃんが僕に気がつきタケから離れたけれど
僕はただ呆然としていた。



もう嫉妬して怒る権利も悲しむ権利もなくなったような
そんな気分だった。



< 138 / 336 >

この作品をシェア

pagetop