ゆびきり
ほんの少し感じた居心地の悪さをひきずりつつ
僕は自分の部屋に戻った。



引越しの準備は全く進んでいなかった。


置いていくものに困るわけではない。

もって行くものがなくて困る。



僕と藍ちゃんは
生まれたときから一緒にいたから
僕の大切なものには
藍ちゃんとの思い出が刻まれている。



藍ちゃんとの思いでは
すべてここにおいて行きたかった。



そんなわけで
僕の荷造りのダンボールには
少しの着替えと参考書などの勉強道具しか入っていない。



「僕から藍ちゃんを取ったらこれだけしか残らないのか…」

ダンボール1個も満たせない僕の荷物を見ていると
そう呟かずにはいられなかった。


僕にとって藍ちゃんがどんなに大切か改めて実感した。


でも…もう遅い。






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