ゆびきり
タケは戸惑いをそのまま顔に出して立ち尽くしていた。

「中に藍ちゃんいたの?」

ママは僕が車に乗るとすぐそう話しかけていた。


「居たけど知らない友達といたから話はしなかったよ。」


タケが引越しをいつか知らなかったんだから
藍ちゃんも僕の引越しを知らなかったのか。


もう僕には興味ないんだね…。




もう胸が故障しそうなくらい鼓動をうって苦しかった。




荷物もダンボール1個も満たないものだったので
車のトランクにすっぽり納まっているし
誰も引越しだとは気がつかないだろう。



車は静かに動き出した。





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