ゆびきり
帰るのは2日だけ
そういう約束で向かった。


トオは小さなバッグを一つ持って
機嫌よさそうにニコニコしていた。


僕は…
電車から見える景色が
見慣れた景色になればなるほど
ドキドキしていた。



駅に降りてからも
一歩一歩をこんなにかみ締めて歩いたことがあったかと
自分でも思うくらい
一歩近づくほどに色々なことを考えた。



藍ちゃんと玄関先でバッタリ…
そんなことはなかった。

そんな自分の勝手な期待通りの偶然がおこるわけない
そうはわかっていても
何だかガッカリした。



部屋に荷物を置いて
トオと話をしたり
ゲームをしたりして時間を過ごした。



「藍ちゃんって隣なんだよな?」

「うん。まあ、隣でも会わないもんだよ。」


「期待はしてただろ?」

「そんなこと…」


僕が答えるのを待たずに
トオは立ち上がっった。


「自販機前にあったよな?ジュースかってくる」

「うん。」


トオが席を立ってからしばらくして
座っていたベットの上に財布が落ちていることに気がついた。





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