ゆびきり
「たっちゃん…」

藍ちゃんは、小さな声で言った。
まるで僕にしか聞こえないように言っている様に。


「僕聞くよ。藍ちゃんの話。」

身体を離し
藍ちゃんを見つめたら
少し恥ずかしそうにうつむいた。

その藍ちゃんの行動をみていて僕は照れてしまった。



「藍とタケは、付き合ってることにしていたの。たっちゃんが大学に進学してしばらくしてからなんだけど。」

付き合ってることにってなんだ??
付き合ってないってこと?

まず一つづつ整理しないと…。

「え?じゃあ、コンビニで会ったときは付き合ってなかった?」

僕は独り言のようにつぶやいていた。

「え?高校のときってこと?付き合ってないよ。」

藍ちゃんは少し驚いていた。
僕がそんな風に思っているなんて、全く考えてなかったみたいだった。

「付き合ってることにしたってどういうこと?」

僕はさらに質問を続けた。

後ろから少し靴の擦れる音が聞こえて
タケの声が入ってきた。

「しつこく男に付きまとわれていたんだよ。たっくんと別れたって噂が流れた後から。」

「え?」

僕はタケの方に振り向いた。


タケは塀に腰をかけてこちらを少し斜めから見ていた。


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